第7話

2/15
前へ
/416ページ
次へ
 それでも、どうすればいいのかわからなくて、理宇は目も唇も閉ざしたままでいた。  すると新の指先は、柔らかく緩やかに移動して理宇の首筋をなぞっていく。 「……ん」  堪えられなかった声を、新が吐息で笑う。 「眠ったふりして、知らないふりするんだ」  新が理宇の身体を跨いで、覆いかぶさってくる。 (うそ、え、何……? え?) 「このまま目を閉じてたら、どうなるかわかってるんでしょ?」  鎖骨の辺りを撫でていた指が、来た道を戻って再び唇へと触れた。ふにふにとからかうようにつままれて、そして――。 「知らないよ、目を開けないと」  唇に温かな吐息が触れる。  額を新の前髪がさらっと撫でる感触に、理宇は勢いよく目を開いた。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

715人が本棚に入れています
本棚に追加