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それでも、どうすればいいのかわからなくて、理宇は目も唇も閉ざしたままでいた。
すると新の指先は、柔らかく緩やかに移動して理宇の首筋をなぞっていく。
「……ん」
堪えられなかった声を、新が吐息で笑う。
「眠ったふりして、知らないふりするんだ」
新が理宇の身体を跨いで、覆いかぶさってくる。
(うそ、え、何……? え?)
「このまま目を閉じてたら、どうなるかわかってるんでしょ?」
鎖骨の辺りを撫でていた指が、来た道を戻って再び唇へと触れた。ふにふにとからかうようにつままれて、そして――。
「知らないよ、目を開けないと」
唇に温かな吐息が触れる。
額を新の前髪がさらっと撫でる感触に、理宇は勢いよく目を開いた。
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