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「……っっ!」
開けた視界には新の姿はなく、カーテンに絞られた日光が差し込む、リビングの白い天井が映った。
「え……夢?」
思わず声に出して呟く。
その数秒後、どうにかなりそうな羞恥心が理宇を襲う。
(うっわ、俺、なんつー夢見てんの、うわーっ)
頭を抱えて、まだ真新しい敷布団の上を転がり回る。
その時、扉が閉まる音が聞こえた気がした。はたと動きを止めてそろりと顔を上げると、いつの間にかそこには新が立っている。
驚いた表情から、今の不審な動きを見られていたのだと悟る。
「あ、はは? なんか早く目が覚めたから、体操してた」
我ながら苦しい言い訳だと思ったが、それしか思いつかなかった。
「そうなんだ」
気を遣ってくれたのか、本当に理宇の言葉を信じたのかはわからないが、新は控えめの笑顔でそれだけを答えた。
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