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第2話
新とは家が隣同士で、家族ぐるみの付き合いで、兄弟同然に育った。
理宇が先に上京するまでは、ほぼ毎日顔を合わせていたし、その後も電話やメッセージのやり取りは頻繁にしていた。
新は理宇を本当の兄のように慕ってくれているし、理宇にとっても新は、大切な弟だ。
すっかり背が伸びて、理宇を追い抜いたところで、新がまだ愛らしい天使だった頃からの関係性は変わらない。
理宇を呼ぶ声が低く落ち着いた声音になろうが、スーツがしっくりくるようになろうが、たたずまいに男の色気が漂うようになろうが、理宇にとって新はただただ可愛い存在で――。
「無理っっっ!」
ネオン街の外れにある雑居ビルの3階。紫みのある独特の青色のドアを開くなり、止めていた呼吸を吐き出すように叫んだ。
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