715人が本棚に入れています
本棚に追加
それなのに。昨夜の夢はやけに生々しくて、触れた新の感触や温度も肌に残っているような錯覚さえする。
――このまま目を閉じてたら、どうなるかわかってるんでしょ?
実際に聞いたことはないはずの新のセリフが、脳内で再生される。
(目を閉じてたら、どうなっちゃうっていうんだよ!?)
決して知ることはできない夢の続きが気になって仕方ない。
新になら何されてもいいし、……むしろしてほしい。
そんなことを思ってしまう自分の変態さに、隣でトーストをかじる新に対して罪悪感がわいた。
(けど、触られたのは……現実なんだよな)
それは今朝ではなく、約一週間前の裸事件の直後の出来事だ。
強い視線に動けなくなった理宇の頬に、そっと触れてきた指先と、呟かれた言葉。
――昔と今は、全然違う。
苦しそうに、まるで理宇に助けを求めるようだった新の表情。
あの夜の出来事は、理宇の脳裏に焼き付いて、ぐるぐると回り続けている。
最初のコメントを投稿しよう!