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(あれってやっぱり……)
「理宇」
(やっぱり、そうだよな……)
「理宇」
「へ?」
肩を軽く叩かれる感触に振り向くと、思ったより新の顔が近くにあって軽くのけぞる。
「こぼしてる」
新に指をさされたは理宇の太もも辺りには、トーストの粉が結構な量落ちていた。
「うわ、ほんとだ、ごめん」
「あと、ジャム付いてる」
「え……あ」
ティッシュを持った新の手が、理宇の口元をぬぐっていく。
「……ごめん」
ぬぐわれた口の端を、無意味に指でこすった。
理宇の謝罪に微笑で応えて、先に食べ終えた新はごちそう様をした。
「理宇はゆっくり食べてて」
そう言って先に席を立ち、出勤のための準備を始める。
その背中を目で追いながら、理宇は重めの溜息を吐きだした。
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