第7話

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(やっぱり、絶対そうだ)  昔から、新の方が落ち着きがあってしっかりしていて、理宇は年長にもかかわらず、世話を焼かれることの方が多かった。  母親にも、「どっちがお兄ちゃんかわからないわね」とよく呆れられていたものだ。  子どもの頃はそれでよくても、大人になった今もそんな状態が続いているのは、呆れを通り越してドン引きレベルなのかもしれない。  新が言った、「昔と今は全然違う」。  あれはきっと、いまだに子どもみたいに落ち着きがなく、手間のかかる理宇に対して、「いい加減状況を考えろ」という苦言だったのだろう。 (新は優しいから、そういうの言い出しづらいよな)  思い悩むような新の表情を思い出して、申し訳なさでいっぱいになる。  理宇は残りのトーストを急いで口に詰め込み、まだ半分ほど残っていたチキンのサラダも掻き込む。まだ口の中のものを飲み込み切らないうちに席を立ち、新を追って洗面所へ向かった。
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