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「新、あのさ」
ノックして洗面所を覗くと、ドライヤーを手にした新が振り向く。
「ごめんな、俺……もっとちゃんとするから」
「どうしたの、急に」
新はぽかんとした表情で、顔だけではなく身体ごと理宇の方へと向き直る。
「居候させてもらってんのも、もし邪魔だなって思ったらほんといつでも言ってくれていいし」
「だから、そんなこと思うわけないから」
「でも……」
「理宇は嫌? この部屋にいるの」
新の問い掛けに、理宇は慌てて首を振って否定をする。
「俺はすっごい楽しくて、もう最高って感じなんだけど、俺が色々だらしないから、新のストレスになってるんじゃないかなって」
心臓に悪いこともたくさんあるけど、やっぱり朝から新の顔を見られるだけで1日がキラキラしている。
「理宇がだらしないのなんて、今に始まったことじゃないし、とっくの昔に慣れっこだよ」
得意げな表情を見せる新に、理宇は「う」と小さく呻いた。そんな理宇の反応に吐息で笑ってから新が続ける。
「俺も毎日すっごい楽しくて、もう最高、だから」
理宇の言葉を真似して、にっこりと笑う。
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