第7話

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「それなら……いいんだけど、うん」  新に負担を掛けているというのが、杞憂であったことにほっとする。  だけど同時に、また新しい懸念が浮かび上がった。 (それじゃあ新のあの言葉は、いったいどういう意味だったんだろ)  意識が思考に傾きかける寸前で、今の状況を思い出す。 「あ、ごめん、仕度してるとこだったのに」 「全然平気。今日はいつもより時間に余裕あるから」 「そっか……あ、じゃあ俺がセットしてやる」  新の返事に安心して、理宇は右手を差し出してドライヤーを要求した。 「ほんと? やった」  無邪気な笑顔を返す新からドライヤーを受け取り、コンセントにプラグを差し込む。  立った状態では身長差で手が届きにくいため、新が膝立ちになってくれた。  シャワー後でまだ濡れていた髪を8割がた乾かして、分け目を決める。 「んー、じゃあ今日は七三のアップバングにしていい?」 「プロにお任せします」  洗面台の鏡越しにおどけて笑う新にキュンとしながら、ドライヤーとブラシを使ってセットしていく。最後に多めのゼリーを手に広げて、後頭部から全体的になじませた。
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