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さっと血の気が引く感覚を覚えながら、どうにか言葉をひねり出した。
「す、好きだなぁ、この髪型! うん、めっちゃ好き!」
うん、うん。と不自然なほど頷きまくった。
「いやー、ここ最近で最高の出来栄えかも! 写真撮っていい?」
「……うん、もちろん」
「サンキュ! ダッシュでスマホ取ってくるわ」
理宇は新を残して勢いよく洗面所を出る。
リビングのテーブルの上に置いてあったスマホを取る動きで、そのまま床にしゃがみ込む。
「何やってんの、俺……」
本当に無意識に、うっかり気持ちがこぼれてしまった。
(バカバカバカバカバカ)
髪をめちゃくちゃに掻きむしって、自身への叱責と反省と自戒を行う。
(新、変に思ってないよな? 大丈夫だよな?)
不安な気持ちを抱きながら、理宇はスマホを手に洗面所へと戻った。
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