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「そうか、理宇がこの部屋にいるのも、あと一週間くらいなんだ」
理宇の帰宅を待っての遅めの夕食中に、理宇は昼間にあった電話の内容を新に伝えた。
「新にはほんと世話になって……また改めてお礼するから」
「お礼とかいらない。むしろ俺は、ずっと理宇にいてほしいくらいだから」
「……ぅ、ぐ」
少し拗ねたような声音は理宇に大きな動揺を与えて、新の作った焼き豚チャーハンを喉に詰まらせる。むせる理宇に、新が「大丈夫?」とお茶が注がれたグラスをテーブルから取って差し出した。
「じゃあ、お礼じゃないけど、来週はなんかちょっと贅沢して美味しいものでも食べない?」
むせも心もようやく落ち着いたあと理宇が提案をすると、新は「いいね」とのってくる。
「新は何食べたい? 良さげな店リサーチしとく」
「そうだな……特にこれってのは今思いつかないけど、外に食べにいくよりは、家でゆっくりしたい気分。例えばちょっと良い肉買ってきて焼くとか」
「おぉ、それもいいな。酒とかも買ってきたりしてな」
理宇の言葉に、新が笑顔で頷く。
「理宇、月曜日休みでしょ? その日にしようか」
「でも、月曜だったら新がしんどくないか?」
「俺は平気。月曜ならほぼ確実に残業ないから」
「じゃあそうしよっか」
こうして理宇の次の休みの予定は、荷物の整理と新との宅飲みに決まったのだった。
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