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「まあでも、せっかくなんやし、ワインと肉のマリアージュを楽しんでみんのもええかもな。新くんはお酒イケるくちなん?」
話を振られた新は、何か考え事をしていたのか、はっとした表情を見せる。
「あまり強くないです」
「へえ、ピンクちゃんとおんなじやね」
雪哉が笑顔が、今はすべて意味深なものに見える。
「ほな、お兄さんがお手頃で飲みやすいのをチョイスしましょか」
すたすたと歩きだした雪哉に、理宇は「やった」と付いていく。
「牛肉やったら、やっぱりフルボディがええんやけど、飲みなれてへんのやったら軽めのが無難やね」
陳列棚の間を歩きながら、雪哉の言葉にふんふんと相槌を打つ。
「ああ、これとかコスパ最強やで。渋みと酸味控えめ。コクはあるけど、度数は高ないし」
雪哉が指差したのはフランス産の千円台の赤ワインだ。
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