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ボトルに手を伸ばす理宇の隣りで、振り返った雪哉が新の位置を確認する。
そして、すっと顔を寄せ、こっそり耳打ちをしてきた。
「ここは敢えて強めの買って、酒の勢い借りてみるか?」
「何言って……」
「それとも、新くん酔い潰して押し倒す?」
「っ!」
勢いよく雪哉に向き直り、思わずその肩を小突く。
「もう、変なこと言うなってば!」
雪哉は珍しくおどけて、ぺろっと舌を出した。
新がすぐ傍まで追いついたのに気づいて、理宇は何事もなかったような顔を取り繕う。
「あ、新。これが飲みやすいんだって。値段もお手頃」
新は指さしたワインではなく、理宇の顔を見てくる。
まるで理宇の中の不自然さを探すようにじっと見られて、冷や汗が滲んだ。
「じゃあ、それにしようか」
微笑みとともに返ってきた答えに、入っていた肩の力を抜いた。
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