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目の前のグラスを手に取るなり勢いよく嚥下すると、「弱いのに知らんで」と苦言が聞こえる。
氷だけになったグラスをコースターの上に戻すと、盛大に溜息を吐き出した。
「本当に無理」
「やから、なにが? まあ大体想像つくけど」
呆れたようにグラスを回収してから、雪哉は勝手知ったる様子で二杯目の準備を始める。
「新が……」
「うん」
「かっこよすぎて無理」
呻きながらカウンターに突っ伏した。
「このままだと近い将来、息の根を止められる……無理」
カウンターに伏せたまま頭を抱える理宇の頭上で、「あぁそう、よかったね」と心のこもっていない声が聞こえた。
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