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「これは確かに合いそう」
ワインをもう一口飲んだあと、まだ温かい赤身肉を頬張り、ワインで流し込むように咀嚼してみる。
「おぉ……なんか美味しいかも」
この食べ方が正しいのか、二つの味わいが調和している状態なのかも理宇にはわからないが、美味しいことだけはわかる。新も理宇を真似て肉とワインを交互に口に運ぶ。
「本当だ、美味しい」
「だな」
綻ぶ新の顔に嬉しくなって、理宇はご機嫌でグラスを呷る。
雪哉が選んだワインはチーズにもよく合って、あっという間に二人でボトルを空にしてしまった。
「やばい、酔った」
顔が火照って頭がふわふわする。視界も意識も、薄い膜が張ったみたいな不思議な感覚だ。
「俺も多分、酔ってる」
「えー、見た感じ全然変わらないぞ?」
「顔に出ないタイプみたいだから」
新の顔を覗き込んで確かめると、確かに顔色は変わらないが、よく見ると目がいつもより潤んでいる。
「理宇は……顔赤い」
顔を近づけてくる新に、どくんと心臓が脈打つ。
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