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「ごめ、新……っ」
急いでどこうとするが、新の腕がそれを阻む。
「理宇、軽すぎじゃない?」
「ぅえ? そんなことはないと思う、けど……」
「前も思ったけど、肉全然ついてない」
確かめるように、新の手が背中を這う。
「いや、腹とかほんと結構ぷにってきてるから……って新」
「うん?」
「重いだろ、どくから離して」
「だから、重くない」
「そ、そういう問題じゃなくて」
(ってか、新やっぱめちゃくちゃ酔ってんじゃんか)
かみ合わない会話に、さっきの自己申告は正しかったことを知る。
もしかすると新は、酔うとスキンシップ過多になるタイプなのかもしれない。
怒らせて嫌われたかもしれないという理宇の心配は無用になったが、今はもうそれどころではなかった。
パニックで吹っ飛んでいた思考が徐々に機能し始めると、心臓が壊れたみたいに自己主張をする。
「理宇、心臓の音早い」
「……っ」
新に指摘されて、鋭く息をのんだ。冷静に考えればこれだけ密着していて聞こえないわけがない。
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