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「え、マジで? じゃあ今度もっかいやってみよっかな」
(落ち着け、俺。深い意味はない。深い意味はない。深い意味はない)
新の言葉に舞い上がりそうな自分を、理宇は必死に押しとどめて軽口をたたく。
「理宇は何色にしても似合う」
「さすがに褒め過ぎだって。俺、新と違って全然イケてないし」
理宇がそう言うと、新は理宇の腰を掴んだまま顔を覗き込んできた。
「それ、本気で言ってる?」
「……え?」
「理宇、こんなに可愛いし、かっこいいのに」
本気で信じられないという顔をする新に、理宇はいよいよ困ってしまう。
(だめだ。心臓が、もたない。意識、飛びそう)
いっそ一連の流れが、すべて自分の妄想だという気さえしてきた。心臓が鳴りまくっても、顔が火照っても、今はすべて酒のせいにしてしまえることだけが唯一の救いだ。
「新は幼なじみ補正で贔屓目で見過ぎなんだってば」
「そんなことない」
ぐっと新の肩を押して、どうにか距離を取る。それでもまだ新の太腿の上に乗っている状態だ。
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