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「ってか、そもそも酔いぎ。目ぇ据わってるし。トマトジュースじゃなくて水持ってこよっか?」
言いながら新の膝から下りようとするが、腰はがっちりホールドされたままだ。
「新ぁ、そんなに掴まれてたら水持ってこれないって」
(これ以上この密着体勢はヤバいんだって)
半泣きで訴えるが、「いらない」と静かな声で返されて終わった。
「じゃあ、もう寝よ? 眠いだろ? 風呂とか全部明日でいいじゃん。片付けとか俺がしとくし」
理宇はあの手この手で、どうにか酔っ払いから脱出することを試みる。
提案する理宇の目をじっと見つめたあと、新はこっくりと頷いた。
しかし、理宇がほっとしたのはその一瞬だけだった。
「一緒に寝よ」
「………へ? え?」
次の瞬間には、理宇の身体は宙に浮いていた。
「ちょ、新……なに、待って……!」
「危ないから、ちゃんと首掴ってて」
反射的に言われた通りにするが、自分から新に抱き着く格好にどっと羞恥心が湧く。きっと素面だったら、とっくにどうにかして部屋の外に逃げ出していただろう。
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