第9話

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 運ばれたのは、居候初日に一度だけ入った寝室のベッドの上だ。新は理宇をそっと下ろして、ブランケットを身体の上に掛ける。ベッドライトを灯して、自分もその隣に身体を横たえた。  向かい合う体勢で見つめ合う。 「理宇、ずっとここにいればいいのに」  新の言葉がぽつりと落ちる。 「俺がいなくなったら、寂しい?」 「うん、寂しい」  新は素直に答えて、再び理宇に身体を寄せてくる。  今度こそ逃げようと思ったけど、できなかった。縋るように自分を見る悲しそうな瞳を、突っぱねることなど無理だ。 「まったく。新は酔ったらこんなに甘えたモードになるのか? 外での飲みは気を付けないとだな」  胸元に顔をうずめてくる新に、どうにか動揺を押し殺して声を掛ける。 「他の人にはこんなことしない」 「……え」  それは一体どういう意味だと訊けないまま硬直していると、新が額を擦り付け、理宇の腰を抱き寄せる。 「いくら酔ってても、誰彼構わずこんなことしない。理宇以外、するわけない」  こんなのもう殺し文句だ。  すでに酔っている頭がくらくらして、胸がぎゅうっと締め付けられる。
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