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第10話(前半)
翌朝、食卓に並んだのはトーストとベーコンエッグ、そしてトマトジュースだ。
(なんか、飲みづらい……)
嫌でも昨夜のあれこれを思い出してしまう。
トーストをかじりながら皿の一点を凝視していた新が、きちんと口の中のものを飲み込んだあと理宇を見た。
「理宇、ゆうべは本当にごめん。迷惑かけて」
「だから、大丈夫だって。謝るの何回目だよ」
酔うと記憶が飛ぶタイプではなかったらしい新は、起きるなりずっと反省モードに入っている。
対する理宇は、平静を装ってはいるものの、まったく新の顔が見られないでいた。
いつもだったらもっとヘコむ新のフォローだってしてやれるのに。「なんか可愛かったぞ」なんてからかって、頭を撫でるくらいはできた。
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