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新が出ていった扉を見つめながら、ほっとしている自分に気付いた。
そのことがひどく悲しくて、やるせなかった。
ずっと張り巡らせていた緊張がゆるんだのもあり、理宇はその場にしゃがみ込む。
何かを守り切った気がするのに、同時に失った気もした。
しばらくの間、何をする気にもなれず扉を眺めていた。
30分くらいしてようやく立ち上がり、部屋の至るところに置いていた私物を回収しにかかる。
衣類がほとんどで、詰め込んだら段ボール3箱にもなった。入りきらなかったものはスーツケースに入れて、自ら運ぶことにする。
理宇の物がなくなった室内は、妙にすっきりしていて違和感があった。もとはこうだったはずなのに。
玄関へ続く廊下とリビングの境目に立ち、改めて部屋の中を見渡した。
なんだか胸に隙間風が吹いているような感じがして、モヤモヤしたような気分になる。
理宇はそんな気持ちに蓋をして、集荷依頼をするため、スマホをタップしたのだった。
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