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「なぁ、放して」
巻き付いている腕を剝がそうとすると、拒むようにさらに強くなった。
「理宇が、好きだ」
その声は、喉奥から絞り出すような音だった。
動きを止めた理宇の肩を新が掴む。引かれて身体を反転させた理宇は、よろけて背後の扉にもたれかかった。
新の顔は今にも泣き出しそうなのに、瞳だけが燃えているみたいだった。その瞳はまっすぐに理宇を捉えたまま揺らがない。
「理宇のことが好きなんだ、ずっと」
言葉の意味はわかるのに、何が起きているのかがわからなかった。
「え、……あ、知ってる……言わなくても、そんな……」
「そうじゃなくて」
しどろもどろに答える理宇を、新の強い声が留める。
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