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新は一度目を閉じて深呼吸をしたあと、再び口を開いた。
「理宇は、誰からも好かれるし、いろんな出会いもあるだろうし、……今の俺じゃまだ、気持ちを伝える資格もないのはわかってるけど、……でも、もう気持ちが抑えられなくて」
一つひとつ選ぶように、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「幼なじみとか、弟とか、そういうのじゃなくて……俺は理宇の、一番になりたい。抱きしめて……キスしたいって思ってる」
心臓が鳴り過ぎているせいで、理宇の身体は小刻みに揺れていた。
思考が完全に停止して、ただ呆然と新を見つめることしかできない。
そんな理宇を見て、新は苦しそうに眉根を寄せた。
「理宇が、俺のこと弟みたいにしか思ってないのはわかってる。困らせてごめん」
反射的に開いた理宇の口からは、ほとんど音になっていないうめき声だけがもれる。
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