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「すごい焼けてきたな」
強引に話題を変えるため、理宇は目についた褐色の肌をつついた。すると、半袖のシャツから覗く引き締まった腕が、掲げるように前へと伸ばされる。それに沿わせるように理宇も腕をあげて、制服の長袖シャツの袖を肘の辺りまでまくった。
「おお、見事なコントラスト」
二人の肌の色の違いに大げさに驚いてみせると、不意に新が理宇の手首を取った。
「俺が焼けてるのもあるけど、理宇が白いんだと思う」
手首に回る新の指にどきっとする。その手も、すでに理宇よりも大きかった。
「理宇?」
名前を呼ぶ声も低い。
2年の年の差があるはずなのに、二人はほぼ同時期に変声期を迎えた。
声変わりを終えたということは、新はもう精通しているのだろうか。
理宇がしているのだから、きっとしているはずだ。
……一人でしたりもするのだろうか。
どんな風に?
ふとよぎった思考に、一気に顔が火照る。
そんなことを想像してしまった自分が猛烈に恥ずかしかった。
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