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「新に言われたこと、落ち着いて考えようとしても、全然できなくて」
「うん」
「返事、いつまででも待つからって言われたけど、いつまででもっていつまでだろ……」
「……うん?」
混乱する理宇を見つめていた雪哉の眉間に、軽くしわが入る。
「ちょっと待ち。なんか話が見えんようになってきたんやけど」
「……え?」
理宇は、すん、と鼻を鳴らして雪哉を見た。
「一応確認やけど、ついに新くんに告って玉砕したとか、気持ちバレたとかちゃうん?」
理宇は数秒遅れで、首を左右に振って否定する。
「じゃあ、なんなん?」
雪哉の質問に、再び理宇の表情が頼りなく崩れる。
「あ……新に……」
依然まとまらない思考のせいで、理宇が口を開くまでにはいつもの3倍ほどの時間がかかった。それでも雪哉は急かさず待ち、「うん」と静かに続きを促す。
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