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「新に……好きって言わ、れた。き、き、キスしたいって……弟とか、幼なじみじゃなくて、そういう、風に考えてみてほしいって……」
口に出してみたら、ふわふわして曖昧だった出来事が、一気にしっかりした輪郭を結んで、自分の顔が火照るのを感じた。
「…………は?」
数回まばたきをしたあと、雪哉が呆けた声をあげた。
「そやったら何、新くんに告白されて……え、まさかと思うけど、そのままテンパって、返事もせんと逃げて来たん?」
驚愕の表情を浮かべる雪哉に、理宇は恐るおそる頷く。
それを見た雪哉の顔から、一瞬で表情が消えた。
「雪哉くん……?」
怯えた声で名前を呼ぶと、雪哉は唐突に理宇に出したカシスソーダのグラスを掴んだ。
「え……それ、俺の……」
そのまま呷り、ゴクゴクと音を立てて中身を一気に飲み干していくさまを、理宇は言葉もなく見つめた。
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