第10話(後半)

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  ◇  ◇  ◇  約ひと月ぶりの我が家は、他人の家みたいだった。床と壁が張り替えられ、新築の家の匂いがする。室内は少し蒸し暑かったが、それをどうにかしようという気力は理宇の中になかった。  剥き出しのマットレスの上に倒れ込んで、盛大な溜息を吐く。  これは、夢か自分の妄想なのかもしれない。  天井を見つめながら、ぼんやりそんなことを考えた。  だって、ありえない。新が、自分のことを好きなんて。  これまで新が付き合っていたのは女の子だったし、今まで理宇に特別な好意を寄せている素振りも、全然見せなかった。 (でも……ほんとに、そうだった?)  はたと気づいて、身体を起こした。  理宇の方が、はなからそんなことはあり得ないと思い込んで、そういう風に考えなかっただけではないか?  だって新はずっと、理宇を大切にしてくれていた。
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