第11話(前半)

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 新と自分とではまるで釣り合わない。  新にはもっと相応しい人間がいるはずだ。  そんな要素を1つでも多く見繕って、新から逃げる理由にしようとしている。  新との関係を変えるのが怖いから。  自分に自信がないから。  こんな自分を隠し通しさえすれば、新に嫌われることはないから。  新に自分の本心を伝えなくてはと思う反面で、伝えないままでいれば、これまで通りでいられるかもしれないと期待をする。 「……やっぱ最悪じゃん」  もしも、このまま新への連絡を先送りにすれば、新の髪は誰がカットするのだろうか。  前回カットしたのはもうひと月前だから、スタイルを保つには調整が必要な時期に差し掛かっている。  新に手入れの行き届いていない髪でなんていさせたくない。  だけど、他の人間に触らせるのは絶対嫌だ。  それでもまだ、新にどう言えばいいのかわからないし、会うのが怖い。 (超絶ヘタレの自己中野郎。自分でもヒくわ)  自分を脳内で散々こき下ろしてから、理宇は立ち上がり、力ない足取りでビルの外へと歩き始めた。
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