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無言の時間がしばらく続いたあと、新が口を開いた。
「理宇、今日の4限目体育だったな。サッカー」
唐突な話題に、理宇は慌てて自覚したばかりの甘苦しい気持ちを押し込めて、いつもの自分を取り戻そうとした。
新は前を向いたままで、今はあまり顔を見られたくなかったから、ちょうどよかった。
「見てたのかよ、えっち」
自分のことは完全に棚上げにして、いつも以上におどけたリアクションをする。
「ナイスアシストしてた」
「たまたま立ってたところに来たボール蹴っただけだし」
理宇は球技全般が苦手だ。
だからろくに守備にも参加せず、敵のゴール付近をウロウロしていたら、まぐれでゴールに貢献する形になった。
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