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『ごめん。
多分今、理宇はすごい困ってるよね。
本当にごめん。
あんなこと言ったけど、俺の一番の望みは、これまでみたいに理宇とずっと一緒にいられること。
だから、理宇さえよかったら全部忘れて。
これからも、俺のお兄ちゃんで、親友で、専属スタイリストでいてほしい。
今度会う時は、ちゃんと弟でいるから安心して。』
メッセージを読んで、一瞬ほっとしかけた自分に気付いて、寒気がした。
(そうじゃないだろ、バカ!)
反射的にスマホを持っていない方の右手で、自らの頬を打つ。暗い部屋の中、乾いた音が響き、生理的な涙が滲む。
新は、いったいどんな気持ちでこの文章を打ったのか。
震えながら、それでも伝えられた感情を、全部忘れていいはずがないのに。
弟だと言われるたび、新がどんな気持ちを抱いたのか、今の理宇ならわかる。
もどかしくて、悔しくて、ものすごく苦しかったはずだ。
それなのに理宇は、自分の都合で必要以上に新を弟扱いしてきた。
そして今、そんな新に、「ちゃんと弟でいるから」と言わせてしまった。
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