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理宇はシャツの胸元を握りしめて、鋭く息を吸い込んだ。
「好き、なんだ……俺も。……新のことが、そういう意味、で」
何度も声を詰まらせながら、どうにか告げた。
言った瞬間、冷や汗がどっと出て、緊張でどうにかなりそうだった。
新は呆然と、言葉もなく理宇を見つめる。そのたった数秒の静寂がとてつも長く感じた。
「理宇」
どうしてか新は、困ったような顔で笑った。
「ごめん、俺があんなメッセージ送ったからだよね」
「……え?」
新の言っている意味が理解できず、理宇は言葉の続きを待った。
「理宇は優しいから、あんな文章送ったら逆に放っておけなくなるよな」
新は重い息を吐いて、くしゃくしゃと前髪を掻いた。
「気に病ませてごめん。本当に気にしなくていいから」
そう言って無理に笑う顔を見ていると、理宇の方が泣きたくなる。
すべて自分のせいだ。
新から逃げて、自分の気持ちからも逃げて。ごちゃごちゃと言い訳をこねくり回している間に、何回も新を傷付けた。
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