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「だから、これからも今までみたいに……」
新の言葉の途中で、理宇はフローリングを蹴った。
数歩の距離を一気に縮めて、新の両肩を掴む。
「理宇……っ」
思い切り背伸びをして、新の首を引き寄せて、無我夢中で顔を押し付けた。
「……っ、ぅ」
勢いが殺せなかったからか角度が悪かったからか、唇同士が滑り、思い切り歯と歯がぶつかって鈍い音が響く。その衝撃に互いに呻いた。
「っ……ごめん。……キスとか、したことなくて……」
痛みと恥ずかしさで顔の下半分を手で覆いながら、ボソボソと呟く。
「ぇ…………え?」
小さい上にくぐもっていたから、理宇の声は届いていなかったかもしれないと思ったが、新にはちゃんと聞こえていたらしい。
混乱の表情で凝視してくる新に羞恥心を覚えながら、理宇は顔を隠していた手をゆっくりと外した。
もう何も、新に隠すつもりはない。
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