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「自分のことばっかで、ごめん、ズルくて……でも俺、絶対……新とどんな形でもいいから、ずっと一緒にいたくて……新のいない人生なんて、考えられなくて……」
再び溢れた涙がこぼれる寸前、理宇は強い力で引き寄せられて、きつく抱きしめられた。
「俺も……俺も同じ。理宇のいない人生なんて考えられない」
涙声で伝えられた気持ちに、理宇はとうとう本気でしゃくり上げる。
理宇が泣き出すと、抱き締める腕がさらに強くなる。苦しいのに、心地よかった。ずっとこのままでいたいとさえ思うくらいに。
「大好き……おれ、新のことが、めちゃくちゃ、好き……っ」
新にしがみつきながら、今まで言えなかった分を取り戻すように何度もくり返す。その度に新は、同じ言葉を返してくれた。
大きな手のひらが、むせぶ理宇を落ち着かせるように背を撫でている。新の体温とその感触を目を閉じて味わっていると、不意に新が、「理宇の顔が見たい」と言った。
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