714人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ヒくほど泣いたから、絶対不細工なんだけど」
鼻をすすりながら答えて、おずおずと身体を離す。
見られるのは抵抗がないわけではないが、理宇だって新の顔を見たかった。
至近距離で見つめ合うのがものすごく恥ずかしかったけれど、理宇は目を逸らさなかった。
「すごい可愛い」
「……そんなわけないし」
それは謙遜でもなんでもなく端的な事実だ。目は赤く腫れているだろうし、顔中涙どころか鼻水で汚れているかもしれない。そんな顔が可愛いわけがない。
だけど、理宇の顔を正面から見つめる新の表情は、とろけそうに甘い。
「……心臓に悪い」
いつもは胸に押しとどめる言葉も、今は声に出せる。
「何が?」
「……新の顔がかっこよすぎて……なんていうかもう堪らなくて、心臓、痛い」
新は理宇の告白に虚をつかれた顔をしたあと、耳まで赤くした。
「理宇にそう思ってもらえるなら、嬉しい」
照れ笑いを浮かべる顔が、理宇に追い打ちを掛けてくる。
最初のコメントを投稿しよう!