第11話(中)

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「……ヒくほど泣いたから、絶対不細工なんだけど」  鼻をすすりながら答えて、おずおずと身体を離す。  見られるのは抵抗がないわけではないが、理宇だって新の顔を見たかった。  至近距離で見つめ合うのがものすごく恥ずかしかったけれど、理宇は目を逸らさなかった。 「すごい可愛い」 「……そんなわけないし」  それは謙遜でもなんでもなく端的な事実だ。目は赤く腫れているだろうし、顔中涙どころか鼻水で汚れているかもしれない。そんな顔が可愛いわけがない。  だけど、理宇の顔を正面から見つめる新の表情は、とろけそうに甘い。 「……心臓に悪い」  いつもは胸に押しとどめる言葉も、今は声に出せる。 「何が?」 「……新の顔がかっこよすぎて……なんていうかもう堪らなくて、心臓、痛い」  新は理宇の告白に虚をつかれた顔をしたあと、耳まで赤くした。 「理宇にそう思ってもらえるなら、嬉しい」  照れ笑いを浮かべる顔が、理宇に追い打ちを掛けてくる。
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