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「俺も混ざりたいなって思いながら見てた」
「ちゃんと授業聞けよな」
過剰に笑って、もっともらしいセリフで返す。
「どうして俺は理宇と同い年じゃないんだろうって、たまに思う」
新のその言葉は、理宇の心の柔らかい場所を突いた。
唐突に泣き出しそうになって、堪えたら「ふ」と不自然な息が漏れた。
とてつもなく嬉しかった。
新が自分と同じように思ってくれていることが。
もう、それだけで十分だと思った。
堪え切れなかった涙があふれて、目をこする仕草で誤魔化す。
「理宇?」
気付いた新が振り向く。
「はは……ヤバい。目の中に虫入ったっぽい」
何度も手の甲で目元をこする動作で、新から顔を隠す。
「擦らない方がいい。早く帰って水で洗おう」
「ん」
俯いたまま頷くと、新は再び理宇の腕を取って歩き出した。
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