第11話(中)

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「ん……っ」  再び触れた新の唇は、感触を確かめるように擦り合わせたり、啄んだりしてくる。  だんだん指先が震えだして、じわりと涙が滲む。 (全然、嫌じゃない……いやじゃない、けど……) 「っ、ふ……」  嗚咽のような息が抑えられなかった。  新はすぐに顔を引いて、理宇の様子を窺う。 「ごめん、大丈夫?」 「……だい、じょぶ……全然」  そう言いながらも理宇の指先は震えたままで、落ち着く気配はない。  それに気づいた新が、そっと理宇の手を掴む。 「理宇が嫌なことは、やめよう。そんなことで嫌いになったりしない」  慰めるように髪を撫でられて、余計に涙があふれた。 「やじゃ、ない」  涙目で訴える理宇に、新は困った風に笑った。  その顔を見ていると堪らなくなって、理宇は新に包まれた手を逆に握り返した。 「怖い、だけだから……だって、こんなの、したことないし……なんか、いけないことしてるみたいな。でも、全然、嫌とかじゃない」 「理宇……」
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