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「ん……っ」
再び触れた新の唇は、感触を確かめるように擦り合わせたり、啄んだりしてくる。
だんだん指先が震えだして、じわりと涙が滲む。
(全然、嫌じゃない……いやじゃない、けど……)
「っ、ふ……」
嗚咽のような息が抑えられなかった。
新はすぐに顔を引いて、理宇の様子を窺う。
「ごめん、大丈夫?」
「……だい、じょぶ……全然」
そう言いながらも理宇の指先は震えたままで、落ち着く気配はない。
それに気づいた新が、そっと理宇の手を掴む。
「理宇が嫌なことは、やめよう。そんなことで嫌いになったりしない」
慰めるように髪を撫でられて、余計に涙があふれた。
「やじゃ、ない」
涙目で訴える理宇に、新は困った風に笑った。
その顔を見ていると堪らなくなって、理宇は新に包まれた手を逆に握り返した。
「怖い、だけだから……だって、こんなの、したことないし……なんか、いけないことしてるみたいな。でも、全然、嫌とかじゃない」
「理宇……」
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