第11話(中)

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「っ、……ン……ッ」  さっきより強く吸われて、予期せぬ声が漏れた。  上唇と下唇を交互に食まれているうちに、互いの唇がしめっていく。  輪郭を確かめるように舌でなぞられた瞬間は、びっくりして反射的に身体をひいたが、背に回った新の腕が離れることを許さなかった。  唇の内側の際どい部分を舐められると、背中がぞわぞわした。不快ではないのに鳥肌が立って、身体が熱くなっていく。気付けば指先の震えも止まっていた。 (頭、ぼーっとしてきた)  表面が吐息と唾液で潤うと、摩擦が減って感触が変わる。  新が吸ったり舐めたりするたび、ぴちゃ、くちゅっと生々しい音が立ち、理宇を煽った。  仕上げのように強めに上唇に吸い付いたあと、新が唇を離す。  そっと目を開くと、新がゼロ距離で見つめていた。 「まだ怖い?」 「怖く、ない……けど、俺多分今、絶対変な顔してる気がするから、恥ずかしい」 「変な顔?」 「だってなんか……背中ぞくぞくして、顔、熱い」  新にこんな距離で見つめられているだけでも、心臓が壊れそうに鳴っている。
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