第11話(中)

12/12
前へ
/416ページ
次へ
「理宇、可愛い……大好き」  吐息とともに呟いたあと、新はまだ足りないというみたいに、摩擦で熱を帯びた理宇の唇を啄む。 「……ひ、ぁ」  甘い囁きと優しく吸われる刺激に、理宇は悲鳴のような声を上げて崩れ落ちた。 「理宇、大丈夫?」  床に倒れる前に、新が咄嗟に抱き留めて支える。 「……ごめ、……膝ガクってなって……多分、腰が抜けた」  新に体重を預けながら、理宇は生まれたての子鹿状態になった。  「とりあえずソファまで移動しようか」 「うん、ごめん……えっ」  てっきり肩を貸してくれるのかと思いきや、無駄のない動きであっという間に横抱きにされてしまった。 「ちょ、新……重いだろ」 「重くないよ。掴ってて」  新があまりに嬉しそうに笑うから、理宇もつられて笑顔になる。 「うん」  だから素直に返事をして、新の首筋にしっかりと腕を回したのだった。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

714人が本棚に入れています
本棚に追加