第11話(下)

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  ◇   ◇   ◇ (コンビニって、こんなにキラキラしてたっけ)  夕食と明日の朝食の買い出しに、新と二人近所のコンビニへ出掛けた。  ただ並んで歩いて、陳列された商品を選ぶだけでウキウキが止まらない。店員や他の客に挨拶をして回りたいくらいに理宇は浮かれていた。  隣の新はいつもの新のはずなのに、なんだか違って見える。どのサラダにするか悩む横顔もとびきりかっこよくて、見とれてしまう。  夕食用の焼きうどんと朝食用のサラダとパンを買って、新の部屋へ帰る道も、なんだか足元がふわふわしていて覚束ない。  一時間くらい前までは胸も頭の中もぐちゃぐちゃで、胃の辺りが重くて、泣き出したいような気分だったのが嘘みたいだ。 「なんか、夢の中歩いてるみたいな感じがする」 「俺も、やっぱり自分の妄想なんじゃないかって心配」  お互い顔を見合わせて笑うと、また幸せな気持ちが膨らむ。  焼きうどんをレンジで温めたら、醤油のいい匂いが漂って空腹感が湧いた。新も同じだった様子で、二人とも完食だった。
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