第2話

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  ◇   ◇  ◇  ◇  琥珀色の液体で満たされたゴブレットグラスが、理宇の前に置かれる。ビールをジンジャエールで割ったシャンディガフは、アルコール度数も低く飲みやすい。この店での理宇の定番だ。  すでに五年ほどの付き合いになる雪哉は、理宇の酒の好みも弱さも、よく知っていた。 「冗談じゃないんだって。最近シャレにならないくらい爆イケが加速してきてて、同じ空気吸ってるだけで動悸が止まらない」 「そら大変や。救心でも飲んどき」  呆れた様子で煙草をふかす雪哉に、理宇はボディバッグからスマホを取り出す。撮影したての新の写真を表示させ、雪哉へと突き出した。  面倒くさそうにそれを受け取った雪哉だったが、画面を凝視して「うわ」と苦笑を浮かべる。 「確かにどんどん男前になりよるな。人生楽しそうで何より……いや、逆に苦労するやろな、ここまでイケメンやと」 「そうなんだよ、ほんとに」  切実な悩みを伝えるために写真を見せたのに、新が褒められると結局嬉しくなってしまう。
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