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暗闇の中で瞼を閉じても眠気は皆無で、心音はずっと落ち着かない。何度目かの寝返りを打った時、「眠れない?」と声がした。
「悪い、起こした?」
「ううん、起きてた」
新が身体の向きを変え、理宇と向き合う形になる。
目が暗闇になれてきて、新の顔がうっすら見える。
「新が隣にいるって意識したら、なんか目が冴えちゃって」
「ごめん、別々の方がちゃんと寝れるよね。でも、どうしても離れがたくて」
今日何度目かもわからない甘い胸の締め付けを感じながら、理宇は深く息を吐き出した。
「なんかもう、怖い」
「え?」
「これまでも、俺……新のことめちゃくちゃ、どうしていいかわかんないくらい好きだったのに、今日だけでもっと、どんどん好きになってる感じがして怖い」
頭の中だけならば許されると、両想いの妄想は数えきれないくらいしてきた。だけど実際の新は、理宇の想像を遥かに超えていく。
何度も何度も感情が限界突破して、上限などないことを思い知った。
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