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「俺も、まったく同じこと考えてた」
少し間を置いて、衣擦れの音と同時にベッドが揺れる。
「……え、っ」
新が理宇の枕に頭を載せて、そっと額をくっつけた。
「理宇、俺を好きになってくれて、好きでいてくれてありがとう。大好き」
新の言葉が、あまりにまっすぐで、切実で、理宇を泣きたい気持ちにさせる。
「……そんなの、こっちのセリフだから」
答える声が震えるのを止められなかった。
強張った理宇の背を、新の手がゆったりと撫でていく。
新の息、触れ合う身体の弾力、熱。匂い。
それらを感じながら理宇は目を閉じた。
「ドキドキするけど、なんかすごい安心もする。不思議な感じ」
うん、と新が静かに相槌を打つ。
トクン、トクンと早い間隔で聞こえる自分の心音が、新のものと混ざり合う。
その音を聞いているうちに、肉体の疲労に引きずられて理宇は眠りに落ちていた。
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