第12話

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 結局ベッドから抜け出すのがいつもより大幅に遅れて、二人して掻き込むように朝食を食べた。 「理宇、一旦家に着替えに帰る時間ある?」 「多分ギリあると思う」 「もし無理そうなら俺の服貸すから、どれでも着ていって。ちょっと大きいかもしれないけど」 「ん、ありがと」  新のヘアセットは理宇が担当したが、時間がないので超時短バージョンで5分で済ませた。  少し伸び気味の新の髪に触れて、すっかり忘れていたことを思い出す。 「そうだ新、次いつ店来れる? 予約忘れてたから、店長が気にしてた」  新はスマホを鞄に入れかけていた手を止めて、「そういえばそうだった」と呟く。 「また予定わかったら教えて。木曜無理そうだったら、どっかの閉店後とかでも大丈夫だし」  理宇の言葉に新ははっとした顔をする。 「今日ってもう予約入ってる?」 「え? あ、今日木曜か。一昨日確認した時は最終枠空いてたような」 「今日残業ないと思うから、もし空いたままだったら行っていい?」 「わかった。確認してすぐ連絡入れるな。多分大丈夫だと思う」 「急でごめん」 「ううん、全然。……ってか今日の夜も顔見られるのとか嬉しいし」  はにかみながら伝えると、新の顔がふにゃっと崩れる。無防備な笑顔に心臓を鷲掴みにされ、少しの間理宇の時が止まる。
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