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19時前に新が店の扉をくぐると、店内がざわつく。
「こんばんは」
「お、いらっしゃい新くん。待ってたよ」
「新さん、ちっす。今日もエグいくらい男前っすねー」
受付カウンターから、店長と竹内が新に挨拶をする声が聞こえてくる。
いつもなら理宇も手が空いていれば出迎えにいくが、今夜は用具の準備をしている素振りで席に留まった。
カウンターで荷物を預け、竹内の案内で新がやってくる。
隣の席でカラー中の女性客とそれを担当する彩が、揃って新の一挙手一投足を凝視しているのが視界の端に映っていた。
「理宇、お疲れ様」
「お、おう。お疲れ」
傍までやってきた新を直視できなくて、俯き加減にちらちらと様子を窺う。
数時間ぶりに見る新も叫び出したいくらいにかっこいい。
そして目が合った瞬間、別れ際の出来事がふと脳裏に浮かんで、理宇はそのままフリーズした。
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