第12話

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「うわ、ごめん、新」  謝罪をして、急いで汚れた箇所におしぼりを押し当てた。 「理宇さん、こすっちゃダメっスよ。汚れ広がるんで。裏側にティッシュとか当てて、表側から叩くといいっス」  竹内のアドバイスに頷き、理宇はすぐさま実行に移す。 「竹内くんって、何気に物知りだよねぇ」 「また動画の情報?」 「これは、ばあちゃんが言ってました。あ、トイレのハンドソープ使うといいかもっス」 「わかった」  即立ち上がった理宇がトイレへと向かおうとすると、新が「俺も行く」と一緒に席を立った。 「どうしよ、落ちるかな」  洗面台の前で羽織っていたシャツを脱ぐ。竹内の教えに従って、備え付けのハンドソープを少量、汚れた場所に垂らした。 「暗い色だから、残っても目立たないよ」  トイレ用の下駄の音をカラコロと響かせて、新がすぐ傍までやってくる。 「いや、絶対ダメだし。新にシミの付いたシャツとか絶対着せたくない。汚れ落ちなかったら弁償する」  無心でトントンと汚れを叩く理宇の背後で、微かな笑い声が聞こえた。 「理宇、自分の服の汚れは全然気にしないのに」 「俺は別にいーの」  隣に新が寄り添ってきて、理宇の手が止まる。
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