第13話

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「さて、今日のよき日にヴィンテージでもおろしたいところですけども、二人ともお酒強ないしなぁ。それはまた別の機会にしとこか。……今日は聞きたいこと色々あるし?」  笑みを深くする雪哉に、理宇と新は身構えるみたいに揃って背筋を伸ばした。 「え、あれ? うっそ……ピンちゃんが男連れてる?」  背後から聞こえた声に二人で振り向く。見ると想像以上の視線が自分たちへと向けられていた。入店時は緊張してよく確認できなかったけど、土曜日の22時台とあってソファ席もテーブル席もすべて埋まり、立って飲んでいる客もいる。そのほとんどが理宇たちに注目していた。 「相手だれ? 見ない顔だけど」 「てか、は? クソイケじゃん。何者?」  顔見知りの常連客たちの会話をきっかけに、こちらの様子を窺っていた他の客たちが一斉に集まってきた。 「ピンちゃん、その人誰? 紹介してよ!」 「うっわ、ほんとにマジもんの美形だ。お兄さん業界のひと?」 「ちょっとピンちゃん、どゆこと?」  十人ほどに囲まれ、まくしたてられた理宇が軽くパニック状態に陥いると、普段と変わらない落ち着いた声が届く。
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