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隣に新がいるのがやっぱり不思議で、新と雪哉が会話しているのはもっと不思議な感じがする。
手早く準備してシェーカーを振り、雪哉がサーブしてくれたのはジンを炭酸水で割ったジンフィズだ。グラスには輪切りのレモンが浮かんでいる。
「美味しい」
一口飲んだ新が呟くと嬉しくなる。理宇も一口飲んで、「うん、美味しい」と笑みをこぼした。
「で? 結局新くんはいつからピンクちゃんのこと好きやったん?」
雪哉の質問に、理宇は二口目の酒を全部吹き出しそうになった。
新は照れくさそうに理宇をちらりと見たあと、雪哉に視線を戻す。
「好きなのは、ずっとですね。子どもの頃からずっと。恋愛感情も持っていることを自覚したのは、中学……高校くらいです」
確かめるみたいにゆっくりと話す新の声を、顔がじわじわと熱を持っていくのを感じながら黙って聞く。
以前新にずっと好きだったと言われたとき、その「ずっと」がいつからなのか聞けずじまいだった。理宇が思っていたよりも随分前だと知って、嬉しさと混乱で涙目になる。
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