第13話

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「理宇の大事な場所に連れていってくれてありがとう」 「……いや、俺こそだし。一緒に来てくれてありがと」  嬉しい気持ちのまま、額を新の肩にこすりつけた。 「すごい騒がれてごめんな。みんなイケメン好きだから」 「理宇、友達多いんだなって思った」 「あー、長く通ってるから、単純に顔見知りが多い感じ」  新が話すたび、背中越しに伝わる振動が心地いい。 「まさか新を連れていく日が来るとか思ってなかったから……めちゃくちゃ恥ずかしい目にあった」  これまでずっと、本人に伝えられない感情を雪哉に聞いてもらっていた。酒が過ぎてしまった日などは、その場に居合わせた客を捕まえ、どれくらい新が魅力的な人間なのかを延々と力説していた。それが当人に伝わってしまう未来など想像もせずに。
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