第13話

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「ごめん、急に……さっきから、ずっとこうしたくて」  理宇の感触を堪能しているみたいに吐き出された深い息が、耳殻を掠めて小さく身震いをした。 「ん、大丈夫……てか、びっくりした。一瞬心読まれたのかと思った」 「え?」 「もうちょっとくっついてたかったなーとか思ってたから」  照れ笑いをしながら、おずおずと新の背中を抱き返した。  だけどすぐに理宇の両肩を掴んだ新が、そっと身体を遠ざけた。 「あ、ごめん……やだった?」  慌てて触れていた手を離そうとしたら、どこか拗ねたような顔をした新が、「嫌なわけないでしょ」と言った。  じっと見つめてくる瞳が少しずつ距離を詰める。左頬にそっと手を添えられて、新の意図を察した。  キスするときは目を閉じる。  覚えたばかりの動作を思い出して、理宇は身を硬くしながらぎゅっと目を瞑った。 「……可愛い」  そんな呟きが聞こえた直後、唇に吐息が触れる。  形を確かめるように指で淵をなぞったあと、柔らかい感触が唇を覆った。
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