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第14話
カウンターの上に置いていたスマホが振動して、理宇は画面に視線を落とす。すぐさまタップしてアプリを開いた。
『理宇も仕事お疲れ様。あまり飲み過ぎたらだめだよ。
明日は20時くらいにはそっちに戻れると思う。理宇も仕事終わるのそれくらいかな? お土産たくさん買って帰る』
記されたメッセージに口元がゆるむのを抑えられない。
「締まりのない顔してからに。相手が誰か一発でわかるなぁ」
顔を上げると、からかいを多分に含んだ雪哉の笑顔があって、理宇はえへへと照れ笑いを浮かべた。
「ラブラブのようで何よりですわ」
言いながら理宇の前にグラスを置く。
「ほんとに雪哉くんのおかげです」
恐縮してペコりと頭を下げてから、理宇は「いただきます」とグラスを口に運ぶ。
見た目は赤いビール。その赤味の正体はカシスリキュールとクランベリージュースで、一口飲むとフルーツジュースのような爽やかな甘みが広がる。
新を伴ってゼニスブルーを訪れたのはもう2カ月前のことだ。
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