第14話

1/15

714人が本棚に入れています
本棚に追加
/416ページ

第14話

 カウンターの上に置いていたスマホが振動して、理宇は画面に視線を落とす。すぐさまタップしてアプリを開いた。 『理宇も仕事お疲れ様。あまり飲み過ぎたらだめだよ。 明日は20時くらいにはそっちに戻れると思う。理宇も仕事終わるのそれくらいかな? お土産たくさん買って帰る』  記されたメッセージに口元がゆるむのを抑えられない。 「締まりのない顔してからに。相手が誰か一発でわかるなぁ」  顔を上げると、からかいを多分に含んだ雪哉の笑顔があって、理宇はえへへと照れ笑いを浮かべた。 「ラブラブのようで何よりですわ」  言いながら理宇の前にグラスを置く。 「ほんとに雪哉くんのおかげです」  恐縮してペコりと頭を下げてから、理宇は「いただきます」とグラスを口に運ぶ。  見た目は赤いビール。その赤味の正体はカシスリキュールとクランベリージュースで、一口飲むとフルーツジュースのような爽やかな甘みが広がる。  新を伴ってゼニスブルーを訪れたのはもう2カ月前のことだ。
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

714人が本棚に入れています
本棚に追加