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「というか土曜やのにラブラブな彼氏ほっといてええの? 向こう休みやろ」
「今展示会で九州行ってて、明日の夜帰ってくる」
「あー、そうなん。営業さんも大変やね」
言いながら理宇が注文したピザをてきぱきと用意する。
その時、入口の扉が開き、雪哉が「いらっしゃい」と声を掛けた。
「あれ? ピンちゃんいるじゃん。今日は一人?」
入店してきたのは常連仲間のハルで、理宇の姿を見つけると側まで寄ってきた。
会うのは理宇が新と訪れた時以来だった。ハルはあの夜大盛り上がりしていたうちの一人だ。
「ここいい?」
理宇に断ってから、ハルは隣のスツールに腰を下ろす。
アパレル店員をやっているというハルはいつもオシャレで、今夜は半袖ボーダーのニットに黒のスキニーを合わせている。
「あー、つっかれたぁ。ピンちゃんとこも土曜は大変だったでしょ? おつかれさま」
それなりに長い付き合いのなか、理宇が美容師をしていることも知っていて、週で一番忙しい土曜日の労をねぎらいあった。
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